下肢静脈瘤とはどんな病気か
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは、脚の静脈内にある「逆流防止弁」が機能しなくなり、血液が逆流・滞留することで静脈が膨らんでコブのように浮き出てくる状態です。見た目が気になるだけでなく、むくみ・だるさ・夜間のこむら返りなど日常生活の質にも影響を与えます。
日本では成人の約10〜20%が何らかの静脈瘤を持つとされており、特に長時間の立ち仕事をする方・妊娠経験のある女性・加齢によって発症リスクが高まることが知られています。
下肢静脈瘤の主な症状
- ふくらはぎや太ももの静脈がコブ状・ミミズ状に浮き出る
- 夕方になると脚がだるく重い
- ふくらはぎのむくみが続く
- 夜中にこむら返りが起きやすい
- 皮膚がかゆくなる・色素沈着(進行すると)
- まれに潰瘍(静脈性潰瘍)が形成されることも
なりやすい人の特徴
- 美容師・調理師・教師など立ち仕事が多い職業
- 妊娠・出産の経験がある(子宮が静脈を圧迫するため)
- 家族に静脈瘤の人がいる(遺伝的要因あり)
- 肥満・運動不足
- 加齢(弁の機能が低下しやすくなる)
静脈瘤の進行度(CスコアによるCEAP分類)
| 段階 | 特徴 |
|---|---|
| C0 | 症状があるが見た目の変化なし |
| C1 | 細い網目状・クモの巣状の静脈拡張 |
| C2 | コブ状に浮き上がった静脈瘤が出現 |
| C3 | むくみを伴う |
| C4 | 皮膚の色素沈着・湿疹・硬化などが出る |
| C5〜C6 | 皮膚潰瘍(治癒済みまたは活動性) |
静脈瘤のセルフケア
弾性ストッキングの着用
医療用弾性ストッキングはふくらはぎに適切な圧力をかけ、血液の逆流を防ぎます。朝、起き上がる前に着用するのが効果的です。市販品もありますが、専門家の指導のもとで適切な圧迫圧のものを選ぶことが推奨されます。
生活習慣の改善
- 長時間の立位・座位を避け、こまめに歩く・足首を動かす
- 休憩時は足を高くして休む(挙上)
- 適度な体重管理(肥満は静脈に余計な負荷をかける)
- ウォーキングやサイクリングなど、脚の筋ポンプ作用を高める運動を習慣にする
医療機関での治療の選択肢
セルフケアはあくまで症状の進行を抑えるためのもので、一度できた静脈瘤は自然には治りません。症状が気になる場合や進行が心配な場合は、血管外科・形成外科を受診しましょう。現在は、硬化療法・血管内レーザー治療・ラジオ波治療など体への負担が少ない治療法が普及しています。